多様な家族の物語

感情の波が大きい子への向き合い方:忙しい父親が実践した落ち着かせる工夫

Tags: 子育て, 発達特性, 父親, 感情調整, 夫婦連携

子どもの「感情の波」、どう対応すれば?

仕事で疲れて帰宅した時や、朝の慌ただしい時間。子どもの感情が大きく揺れ動き、「どうして今?」と思うような状況に直面することは、多忙な父親にとって少なくないかもしれません。特に発達特性のある子どもの場合、感情の切り替えが難しかったり、特定の感覚に過敏に反応したりすることで、思いがけないタイミングで感情が「爆発」することがあります。

このような時、どう対応すれば良いのか、冷静さを保つことができるのか、悩んでいる父親も多いのではないでしょうか。私自身も、子どもの強い感情表現にどう向き合うか、試行錯誤を繰り返してきました。この記事では、私の体験に基づき、子どもの感情の波に寄り添いながら、自身も落ち着いて対応するために試した具体的な工夫や、夫婦での連携についてお話ししたいと思います。

経験から学んだ、具体的な声かけと関わり方

私がまず直面したのは、「どう声をかけたらいいか分からない」という壁でした。感情的になっている子どもに対し、「どうしたの?」「落ち着きなさい」といった一般的な声かけは、かえって火に油を注ぐ結果になることが多かったのです。

そこで試したのは、具体的な行動や状況に焦点を当てることでした。例えば、おもちゃが片付けられずに癇癪を起こしている場合、「片付けられないのが嫌だったんだね」「おもちゃが床に散らかっているのが気になるんだね」のように、子どもの感情の背景にあるかもしれない状況や感覚を言葉にしてみるのです。この時、推測であることを前提とし、「〜なのかな?」と問いかける形にすることも効果的でした。

また、感情がピークに達している時は、言葉による説得はほとんど通じません。むしろ、物理的に安全な環境を確保し、子どもが落ち着ける空間(例:静かな部屋の隅、お気に入りのクッションがある場所)へ誘導すること、そして、父親自身が落ち着いている姿勢を示すことが重要だと気づきました。焦りや苛立ちは子どもに伝染します。深呼吸をする、一度その場を離れて冷静になる時間を持つなど、自分自身の感情をマネジメントする工夫も並行して行いました。

さらに、落ち着いてきたら、「さっきは大変だったね。〇〇(具体的な行動)してみたら、少し気持ちが楽になったかな?」のように、感情が落ち着いた後の行動を振り返り、言語化を促す関わりも取り入れました。これにより、子ども自身が自分の感情やその対処法について学ぶきっかけになることを期待しています。

夫婦で情報を共有し、支え合う大切さ

多忙な中で子どもの感情の波に対応するのは、大きなエネルギーを消耗します。私一人で抱え込もうとすると、どうしても無理が生じ、冷静さを失いがちでした。そこで重要だと感じたのが、妻との連携です。

日々の出来事や子どもの様子について、短い時間でも良いので情報を共有する習慣をつけました。「今日はこんなことで感情的になった」「こういう声かけを試してみたけどうまくいかなかった/うまくいった」といった具体的な共有は、お互いの理解を深め、次にどう対応するかを考える上で貴重なヒントになりました。

また、どちらか一方が子どもの対応に疲れてしまった時、もう一方が代わる、あるいは一時的に子どもから離れて休息する時間を作るなど、物理的なサポート体制を築くことも非常に有効でした。「しんどい時は正直に言う」というルールを作ることで、互いに無理せず、チームとして子育てに取り組む意識を持つことができたのです。

完璧を目指さず、できることから

子どもの感情の波への対応に「正解」は一つではありません。子どもによって、状況によって、効果的な方法は異なります。大切なのは、子どもの様子をよく観察し、様々な方法を試しながら、その子に合った関わり方を見つけていくプロセスそのものだと感じています。

多忙な日々の中で、常に完璧な対応をすることは難しいかもしれません。時には冷静さを失ってしまうこともあるでしょう。しかし、そういった経験も学びにつながります。大切なのは、自分自身を責めすぎず、できることから少しずつ試してみることです。

この記事でご紹介した具体的な声かけや関わり方、夫婦連携のヒントが、同じように悩む父親の皆さんにとって、何か一つでも参考になれば幸いです。完璧を目指すのではなく、「まずこれだけやってみよう」という小さな一歩を踏み出すことから始めてみてはいかがでしょうか。