多様な家族の物語

短時間で効果を出す!発達特性のある子と学ぶ父親の工夫

Tags: 発達特性, 家庭学習, 父親の子育て, 勉強サポート, 短時間学習

多忙な父親ができる、家庭学習への関わり方

子どもの勉強を見る時間がない、見ようとしてもどこから手をつければいいか分からない。ましてや、子どもの発達特性による学び方の違いがあると、どうサポートすれば良いのか途方に暮れてしまうこともあるかもしれません。

学校から持ち帰る宿題や、家庭での学習習慣について、多忙な日常の中でどう関わるか悩んでいらっしゃる父親は少なくないでしょう。今回は、私自身の経験から、限られた時間でも発達特性のある子どもとの家庭学習を支えるために試した工夫や、そこから得られた学びについてお話しします。

エピソード:教科書を開くまでの長い道のり

私の息子は、特定のことに強い関心を示す一方で、興味のないことや抽象的なことへの集中を持続させることが難しい特性があります。小学校に入学し、宿題や家庭学習が始まると、その特性が顕著に現れました。

まず、教科書やドリルを開くこと自体に抵抗がありました。「つまらない」「やりたくない」という言葉がすぐに口から出ます。無理強いしようとすると、感情的になり、収拾がつかなくなることも少なくありませんでした。

帰宅後、夕食を挟んで寝るまでの短い時間で、息子にどう勉強と向き合ってもらうか。正直、毎日が試行錯誤でした。仕事で疲れている中で、息子の抵抗に粘り強く付き合うのは精神的にも体力的にも負担でした。

試した工夫:短時間集中と「好き」を入り口に

そんな状況を乗り越えるために、いくつか試した工夫があります。最も効果があったのは、「短時間での集中」と「息子の『好き』を学習に結びつける」というアプローチです。

例えば、それまで「宿題を全部終わらせよう」と考えていたのを、「まずはこの漢字を3つだけ書こう」「この計算問題を5問だけ解いてみよう」というように、極端に目標を小さく設定しました。ストップウォッチを使い、「たった3分だけ集中してみようか」と声をかけることもありました。時間が短いと分かると、息子も「それならできるかも」と取り組みやすくなったようです。

また、息子が図鑑や恐竜に強い関心があることを利用しました。国語の読解問題が苦手な時は、図鑑の解説文を一緒に読んだり、恐竜の進化の歴史を調べることを「探究学習」と称して漢字や文章を書く練習に繋げたりしました。算数であれば、恐竜の体長や時代の長さを比較する問題を作ってみるなど、遊びの要素を取り入れました。

抽象的な概念の理解が難しい時は、具体的なものや視覚的なツールを活用しました。例えば、分数の概念を教える際には、本物のピザやブロックを実際に分けて見せるなど、五感に訴えかける方法を試しました。

学びとヒント:完璧を目指さないこと、小さな成功を祝うこと

これらの経験から学んだのは、「完璧を目指さないこと」の重要性です。全ての宿題や予習をこなすことよりも、まず机に向かう習慣をつけること、短時間でも集中する経験を積むこと、そして何より「学ぶことは面白いかもしれない」と感じてもらうことを優先しました。

そして、小さな成功体験を積み重ねること。設定した小さな目標(漢字3つなど)ができたら、「たった3分でこれができたの?すごいね!」と大げさなくらい褒めました。結果だけでなく、机に向かったこと、頑張ったプロセスを認め、肯定的な言葉をかけることを心がけました。これは、自己肯定感を育む上で非常に重要だと感じています。

また、これらの工夫は私一人で行ったわけではありません。妻と常に情報交換をし、日によってどちらかが担当したり、お互いの成功例や課題を共有したりしました。夫婦で連携し、一貫性のあるサポートを心がけることが、子どもにとっての安心感につながります。

まとめ:まずは「短い時間」から始めてみませんか

子どもの家庭学習への関わり方は多様であり、これといった正解があるわけではありません。特に発達特性のある子どもの場合、その子に合ったアプローチを見つけるまでに時間と根気が必要になることもあります。

もし、あなたが「時間がない」「どう関わればいいか分からない」と悩んでいる多忙な父親であれば、まずは「短時間」から始めてみることをお勧めします。5分でも、10分でも構いません。子どもの「好き」や得意なことを手掛かりに、学習のハードルを少し下げてみてください。

そして、できたこと、頑張ったプロセスに目を向け、それを言葉にして伝えてみてください。完璧を目指さず、小さな一歩から。その積み重ねが、子どもたちの「学ぶって少し面白いかも」という気持ちや、自己肯定感を育むことに繋がっていくはずです。