限られた時間で専門家と情報共有:忙しい父親が実践する連携のコツ
専門家との連携、多忙な父親の悩み
子どもの発達について、医師や心理士、療育施設の担当者といった専門家からアドバイスを受ける機会は少なくありません。専門家との連携は、子どもの特性理解を深め、より適切なサポートを考える上で非常に重要です。
しかし、多忙な日々を送る父親にとって、限られた面談時間の中で伝えたいことを伝え、聞きたいことを漏れなく聞き、得た情報をその後の子育てにどう活かすかは、簡単なことではありません。「何を話せばいいか分からない」「専門用語が難しくて理解できない」「せっかくのアドバイスを忘れてしまう」といった悩みを抱える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、私自身が多忙な中で専門家と連携する上で実践してきた具体的な工夫と、そこから得られた気づきについてお話しします。
面談を最大限に活かすための事前準備
限られた時間を有意義に使うためには、事前の準備が非常に重要だと感じています。
例えば、診察や面談の前に、伝えたいことや聞きたいことを箇条書きでメモしておくことから始めました。子どもの最近の様子で特に気になること、家庭で困っている具体的な状況、試していることとその効果などを書き出します。
「先週、公園で友達と遊んでいたときに、順番が待てずにトラブルになった」「朝の着替えに時間がかかり、毎回親子でイライラしてしまう」といった、具体的なエピソードを添えるように心がけました。専門家は具体的な状況を知ることで、より的確なアドバイスをしやすくなるからです。
また、妻とも事前に話し合い、情報や聞きたいことのすり合わせを行いました。父親だけでは気づかない子どもの様子や、母親が特に相談したいと思っている点を共有しておくことで、夫婦で共通の認識を持って面談に臨むことができます。
面談中の「聞く」と「確認する」技術
面談中は、専門家の話を注意深く聞くことはもちろんですが、内容を正確に理解するために「確認する」ことを意識しました。
専門用語が出てきた際には、「〇〇というのは、具体的にはどういうことでしょうか?」と遠慮せずに質問するようにしました。また、アドバイスされた内容について、「これは具体的に家庭でどのように実践すれば良いですか?」と、より実践的な方法を尋ねることも大切です。
メモを取ることも欠かせません。話を聞きながらキーワードや重要な指示を書き留めておくと、後で見返したときに内容を思い出しやすくなります。私はスマートフォンのメモ機能や、簡単なノートを活用しました。後から整理しやすいように、箇条書きで簡潔に記録することを意識しました。
一度ですべてを理解しようと気負いすぎず、「後で妻に説明するために」という視点を持つことも、プレッシャーを減らす上で有効かもしれません。
得た情報を家庭での実践につなげる工夫
専門家から貴重なアドバイスをいただいても、それを家庭での具体的な行動につなげなければ意味がありません。面談で得た情報を「活かす」ための工夫も必要です。
まず、帰宅後できるだけ早いうちに、妻と面談の内容を共有する時間を持ちました。メモを見ながら話の内容を伝え、夫婦で認識を一致させます。この時、「先生はこう言っていたけど、我が家ではどう取り組めそうか」と、家庭の状況に合わせて具体策を話し合いました。
例えば、「スモールステップで課題に取り組む」というアドバイスであれば、「まずは朝の着替えで、靴下を自分で履くことから始めてみよう」というように、具体的で実行可能な目標に落とし込みます。
そして、実際に家庭で試したことや、子どもの変化、気づいたことなどを簡単な記録として残すようにしました。これは次の面談で専門家に伝えるべき貴重な情報源となりますし、夫婦で子どもの変化を共有するのにも役立ちます。完璧な記録でなくても、「〇月〇日、着替えの声かけを変えてみたら少し早くなった」といった一言のメモでも十分です。
専門家は「チーム」の一員
専門家は、私たち家族にとって「子どもの健やかな成長」という共通の目標を持つ「チーム」の一員だと考えるようにしています。一方的にアドバイスを受けるだけでなく、家庭での様子を具体的に伝えることで、専門家もより適切なサポートを提供できるようになります。
忙しい中でも専門家との連携を円滑に行うことは、子どもの成長をサポートする上で強力な助けとなります。完璧を目指す必要はありません。まずは「聞きたいことを一つメモする」「面談中に分からない言葉を一つ質問してみる」といった、小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。専門家との対話を通じて、子どもの新たな一面に気づいたり、日々の悩みを乗り越えるヒントが得られたりするはずです。